王への手紙(上・下)

王への手紙 (下) 王への手紙 (下)
トンケ・ドラフト (2005/11/17)
岩波書店

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クローバー2本棚の中を歩いてみると、なんと岩波少年文庫の本がたくさん並んでいる事!
多分ほとんど持っているんじゃないでしょうか。
長年児童文学を読んでくると、必然的に岩波書店や福音館書店あたりの本がどうしても増えてきます。
この岩波の少年文庫は、子供たちに読書の楽しみを知ってもらいたいと思った時に、自信を持っておすすめ出来るシリーズです。
中に入っているお話は、「小公子」や「ピーター・パン」など有名な本から、余り知られていない地味な本まであり、このシリーズを揃えればおおよその児童文学の代表的な作品は読めてしまうのも嬉しいところ。
手に持って歩くのにちょうどよいサイズなので、私も出かけるときなどには、よく持ち歩きます。

今回の本は、この少年文庫の中から一昨年出版された、オランダの作家トンケ・ドラフト著の
「王への手紙」 (上・下)です。


明日正式に騎士に叙せられるために、礼拝堂で最後の試練を行っていたダホナウト国の見習い騎士ティウリは、一人の男から手紙を託される。
試練の最中に礼拝堂から出ると失格になってしまうのだが、ティウリは切羽詰った様子の男の嘆願をどうしても無視する事が出来ず、頼みを聞いて、森の宿屋に滞在中の騎士にその手紙を届けに行く。
しかしその騎士は森の中で、卑怯なだまし討ちのために、瀕死の状態にあった。
少年ティウリは、その騎士の最後の頼みにより、隣国ウナーヴェンの国王にその手紙を届ける事になる。その手紙にはある重大な報せが書いてあった。
謎の赤い騎士の率いる一団にねらわれたり、手紙を盗もうとする暗殺者などに追われながらの、ティウリの長い旅が始まった。
その旅の中でティウリは、いろいろな騎士たちや賢者メナウレスそして少年ピアックたちと出会い、困難を乗り越えて真の騎士へと成長していく。


見習い少年騎士ティウリの冒険を描いた児童書です。
設定は架空の世界ですが、魔法もドラゴンもなく、中世の雰囲気の物語です。
オーソドックスな冒険物語で、シンプルで明快なストーリーなのに凄くおもしろい。
この世界の背景がきちんと書かれていて重厚な感じがするけど、でも子供向けなのでくどくなく、一気に読んでしまいました。
こんなにおもしろい本が40年ぐらい前に書かれていて、一度も日本に紹介されなかったのは、作者が第二次世界大戦中に3年間ほど日本軍の収容所にいた事が原因なのかしらと、ちょっと残念に思いました。
子供の時に読みたかった!

優れたおもしろいお話は、それを読んでわくわくハラハラしたり、心から感動して泣いたり、一喜一憂する瞬間を読み手に与え、その人に無常の喜びをもたらします。
その時の記憶は、いろいろな思い出と結びつきあって、いつまでも心の中に残り、記憶の棚にしまわれて、そしてワインのように熟成します。
そしてプルーストのように、後になって何かの拍子にふっとその時の瞬間を思い出すと、いろいろな記憶のかけらと一緒になって、その時の自分の思いや感情が蘇ってきます。
楽しい思い出ばかりではないかもしれないけど、それはまたそれで、甘くてちょっとビターな思い出になり、その時どうやって乗り越えたかを思い出したりもします。
笑ってウサを晴らした本、主人公の運命に泣いたり勇気づけられたり、シンデレラストーリーに憧れたり、なんと波乱万丈な生活を味わえる事。それが本の醍醐味です。
その中から子供たちはいろいろなこと、現実の中でいつか味わうかもしれないつらい事などを疑似体験し、主人公とともに困難を乗り越えて生きる強さをつちかうのではないでしょうか。
子供の時に、そんな本をたくさん読んで本の楽しさを味わう事ができた人は、成長してもきっとそれを忘れる事はないでしょう。、
だからこそ、出来るだけ多くの読書をしておいて欲しい、と心から思います。

この本、上・下二冊合わせると、少年文庫といえど結構な厚さです。
なかなか現代の子供たちが手に取りにくい地味な装丁ですが、読んだらおもしろくてスカッとする話です。
まずは本ってこんなにおもしろいんだ!と子供たちに思ってもらうことが、肝心。
それには、こういう冒険小説がうってつけです。「宝島」や「海底二万里」などのように。

昨年、続編「白い盾の少年騎士」も刊行されました。
その後のティウリの活躍する話で、いろいろな謎もとけてきます。
こちらもお薦めです。
大人だってたまには子供に帰って、深夜のベッドの中で思う存分、少年ティウリの波乱万丈な冒険を楽しみたいものです。













ベニー・グッドマン物語

グレン・ミラー物語 / ベニイ・グッドマン物語 GREAT BOX グレン・ミラー物語 / ベニイ・グッドマン物語 GREAT BOX
ジェームス・スチュアート (2003/04/25)
ユニバーサル・ピクチャーズ・ジャパン

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中学生になったばかりのころ、土曜日は私にとって特別な日でした。
何故って、母が深夜放送の映画を見させてくれる日だったのです。
あの淀川長治さんの解説で放送された土曜映画劇場は、当時あまり映画なんかに
連れて行ってもらえなかった私にとって、楽しい夢のゴールデン・タイムでした。
父が仕事が忙しくて深夜でないと帰ってこられなかったので、母が特別に土曜日だけ
見る事を許してくれていたのです。
もともとアメリカのテレビ番組が大好きで、子供の頃から「ルート66」「タイム・トンネル」
「原子力潜水艦シービュー号」その他の色々な番組を見ていました。
でも夜の遅い番組は許してもらえず、小さいときは「サンセット77」のテーマ音楽が
茶の間から聞こえてくるのを、布団の中で「見たいよー」とはぶてていたものです。
この映画もその頃にテレビで見たもので、私の音楽鑑賞に決定的な影響をあたえた2つの映画のうちの一つです。

「ベニー・グッドマン物語」

スウィング・ジャズの好きな人も好きでない人も、ジャズのことを何も知らない人でも、
この楽団とグレン・ミラー楽団の演奏は必ず聴いたことがあるんじゃないでしょうか。、
最近は映画「スウィング・ガールズ」などで、ブームになっているので珍しくないですよね。
強烈なジャズのリズムと、日本とまったく違うメロディー、当時の大国アメリカの古きよき時代を
感じさせるストーリーと相まって、子供心にまるで別世界にいるような楽しい映画だったのです。
特にベニーとライオネル・ハンプトンが初めて競演する「アヴァロン」
そしてやっぱりカーネギー・ホールでの「シング・シング・シング」
もう一つ付け加えるなら、ジャズではないけれど、ベニーがクラシックを演奏するミニ・コンサートでのモーツァルトの「クラリネット協奏曲」の場面も大好きです。
この影響で、クラシックの中で好きな曲は?と聞かれたらどうしてもモーツァルトのこの曲を上げてしまいます。

父も私も、フランク・シナトラやビング・クロスビー、フレッド・アステアの出る映画が大好きでした。
学校でみんながビートルズやグループ・サウンズに夢中になっていた頃に、ひとり私だけ、
なんでかそんな音楽ばっかり聴いていて、みんな変わり者だと思っていたでしょうね。
でもジャズ・ファンの方の中には、私と同じこの映画あたりからジャズが好きになった人って
けっこういらっしゃるんじゃないでしょうか。

この映画を撮影したときはまだベニー・グッドマンが存命だったので、本人におもんばかって、
あまり思い切った内容のストーリーに出来なかったらしいようです。
ですが、そこがかえってあっさりした、あまり感傷的でない淡々とした展開になっていて、
ちょっと登場人物みんなが出来すぎのような気がしないでもないけど、楽しい雰囲気になっています。

このDVDは、演奏のシーンだけ抜き出して見る事ができるようになっていて、それも私にはちょうどよく、演奏シーンだけを楽しむ事もできます。
何かをしながら見ていたらつい足拍子をとっていて、この時代の若者が熱狂して演奏会場で踊り狂った、というのも無理ありませんね。

今は社交ダンスブーム。
私は踊れませんが、せめてこの音楽に合わせてジルバぐらい踊れたら楽しいでしょうね。
うちのだんな様と・・・じゃ、一生無理そうですね・・・。

病みたる秘剣〜風車の浜吉・捕物綴

病みたる秘剣 病みたる秘剣
伊藤 桂一 (2005/01)
学研
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今日の散歩道は、古いお江戸の町を歩いてみましょうか。
私が中学生のころ、母がたまたま買ってくれた文庫本が佐々木味津三の「右門捕物帖」でした。
中学生の女の子に買ってやる本だろうか?と今だに思うのですが、ようは母が時代小説、
特に捕物帖が好きだったという事ですね。
おかげで私は今も大の捕物帖ファンです。
あのころはお小遣いをはたいて、次から次へと買っては読み買っては読みの日々でした。
山本周五郎や池波正太郎や柴田錬三郎などなど、吉川英治から司馬遼太郎にいたるまで。
今でも押入れの奥に一山できるほどの本が眠っています。もちろん本棚の中にもたくさん。

今は溢れんばかりの時代小説の数々が本屋に並んでいます。
全部にはとても目を通せないけれど、この本だけはいつまでも絶版にならないで並んでいて
と思うのが、この伊藤桂一著の根津の浜吉のシリーズ全3冊です。

「病みたる秘剣」
「隠し金の絵図」
「月夜駕籠」

地味な設定の捕物帖だと思いますが、最近の時代小説は颯爽とした岡引や同心たちの登場する作品よりも、しみじみとした江戸時代の情感溢れる小説のほうが多いみたいなので、かえって読みやすいのではないでしょうか。


腕の立つ岡引の根津の浜吉は、訳あって罪を犯し、お役御免となって追放されていた。
が、ようやくお江戸に帰ってきて、今は小石川伝通院の境内で風変わりな風車を作って売っていた。
そこへ浜吉の幼馴染の岡引、小日向の喜助の子分の留吉がやってきていろいろな事件の相談を
浜吉にもちかける。浜吉も世をはばかりながらも留吉や喜助に助力するのだった。
やがて晴れて再び岡引に復帰し、江戸の町を事件解決のために走る事になる。風車を売りながら。


登場人物がみんな優しくて人情があります。
浜吉も前科があるがゆえに人の心の弱さや悲しさを理解できるし、悪い人物に対しては峻厳ですがでも相手を深く思いやる事もする。
読んでいると、淡々とした中に浜吉たちの生きている江戸という町の情感や人々の生きている雰囲気が伝わってきて引き込まれます。

私は伊藤桂一さんの作品はこの3冊以外はほとんど読んだ事がなく、
不勉強なのですが、戦記物なども多く書かれているようです。
ご高齢ですが、今なお、お元気でいらっしゃるようですね。
いつまでも元気で執筆される事を、心から願っています。

ところで私はテレビの時代劇も大好きなのですが、最近は面白い時代劇がとんと無い!
NHKの菊さんのシリーズも終わってしまったし。
もっと面白い時代劇沢山作ってくださいよー、テレビ局さん!





ドリームズヴィル (dreamsville)

バラード~ドリームズヴィル~ バラード~ドリームズヴィル~
ステイシー・ケント (2002/01/26)
キングレコード

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今夜は娘と一緒に、久し振りにジャズのライブに行ってきました。
窓から素敵な景色の見えるお店で、気持ちの良い時間を過ごして、とってもいい気分!
そこで今夜はこの一枚を棚の中から探してきました。私のお気に入りの一枚です。
ステイシー・ケントの「ドリームズヴィル」、ジャズヴォーカルのアルバムです。
偶然CDショップで見つけたアルバムだったのですが、このステイシー・ケントという女性ジャズヴォーカリストの声と歌い方が、とっても私好みのタイプだったのです。
甘いハスキーな、それでいてどこかクールでなめらかな感触のある声質で、歌い方もキュートで優しい感じなのに決して甘くない。
聞いているとなんだかすぐ傍らで、囁くようにつぶやくように優しく歌ってくれているような、とても雰囲気のある歌い手です。バラードを歌っている時は特にそんな感じがします。
私の好きな曲は、1番目の「I'v Got a Crush on You」6番目の「Dreamsville」8番目の「Hushabye Mountain」そして11番目の「Violets for Your Furs」
歌い上げるようなタイプの歌手ではありません。ずっと聞いていても疲れないし聞いてると気分がほっとするので、これって、私にとってのJazzでのヒーリング系かなっと思ってます。変な言い方かもしれませんけど。

今夜はコンサートの余韻に浸りながら、ピアノとサックスとステイシーの素敵な歌声に包まれて、夜更けの音楽の散歩道を歩いています。コーヒーの香りと一緒に。

星を継ぐもの

星を継ぐもの 星を継ぐもの
池 央耿、ジェイムズ・P・ホーガン 他 (1980/05)
東京創元社

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「SFってなんだかとっつきにくい」と思っているあなたに、今日はこの本を紹介しましょう。
科学の用語やら理論やら出てきても恐れることはありません。
サスペンスやミステリーが好きな人には、この話はぜひぜひおすすめのSF小説です。

「星を継ぐもの」
「ガニメデの優しい巨人」
「巨人たちの星」

以上の三部作のシリーズの一番最初の本ですが、この三冊はどれも面白い!
というか、全体でひとつの流れになっているので、一作目を読むと次がどうしても読みたくなってしまいます。
読むのを止められなくて、結局3冊かかえて、これまたうろうろ持ち歩くことに・・・。
(ホーガンはこの3作品の後、このシリーズでもう1冊出していますが、あまり面白くなかったので、紹介からはずさせてもらいました。)


月面の洞窟の中で、調査隊が宇宙服を着た人間の死体を発見した。その死体は『チャーリー』と名づけられ調査をしてみると、なんと5万年以上前に死んでいたことが明らかになる。体は明らかに地球の人間と同じなのに。
いったい何故?
彼はどこからきたのか?
どうして月面で死んでいたのか?
ここから地球と太陽系、そして銀河系へとひろがる壮大なストーリーが始まる。
ひとつ謎が解決すると次の疑問が生まれ、次から次へと話が展開して、最後は人類の未来へ向けて新しい歴史がはじまる。
「ずいぶんひやりとする場面もあったけれど、地球はついにやってのけたのよね」
「これで終わったような言い方じゃないか。これから、いよいよはじまるんだ」



「やっぱりハッピーエンドはいいなあ」としみじみ思うラスト近くのセリフです。
人間をとって喰うようなエイリアンも、はでな宇宙船同士の戦闘シーンもありません。
なのにハラハラするような場面もあり、人間同士の駆け引きや陰謀もあり、良質のミステリーであり、しかもエンターテインメント。
ややこしい科学的な言葉や理論は、ストーリーを追いかけているうちに、自然に必要な事だけは何となくわかってくるもんです。

登場人物も、主役のヴィクター・ハント博士やリン・ガーランド。
最初はハントの説に反対していたけれど後で仲間になるユニークで聡明なダンチェッカー博士。
コールドウェル部長や政治家やら諜報部の人間やらいろいろな人物が登場します。彼らの言葉のやり取りもけっこう楽しいのですが、私が大好きなのは・・・
コンピューターのヴィザーとゾラック!
ただのコンピューターじゃありません。
この二人(あえて彼らと呼ばせてもらいます)、彼らは、性格の良いたのもしいスーパー・コンピューターです。
こんなスーパー・コンピューターならあってもいいかな?人間と協力して自己進化をとげる自己学習型コンピューターなら。
なんて思わず思ってしまうくらい魅力的。
「2001年宇宙の旅」のコンピューターは私怖かったので、こういう設定のコンピューターが出るとほっとします。


書評などにはハードSFと書いてありますが私はあまりハードだとは思わなくて、どちらかと言えば読みやすいSFだと思いました。
この話のような未来に夢を持たせてくれるSFの話は、出来れば夢を持ちにくくなっている現代の若い人たちにこそ読んで欲しいと思うのですが。夢を持つ事が、進化や発展へつながるとダンチェッカー博士も中で言っています。私も本当にそう思います。

深夜に夜空の星を見上げながら遠い銀河に思いをはせ、本棚の中にある宇宙への旅を味わうのも、またロマンティックで楽しいものです。

プロフィール

Samantha

Author:Samantha
・旦那様と娘が一人
・好きなものは本とCDと海外ドラマ
・記憶の保持能力が衰えて来つつある
 50代のおばさんです

・ニックネームを変えました
 (私の大好きなTVドラマの登場人物の名前です)

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